カフェで読み切るAcoustic Cafe選書

市川市動植物園では人工哺育で育ったニホンザルのパンチ(オス)を群れに戻そうという試みが進んでいます。
2008年、今から18年前。
育児放棄されたニホンザルをなんとか群れに戻そうと奮闘していました。
名前は「オトメ」(メス)。リラックマのぬいぐるみを抱いたサル。
その姿を追った記録です。
ニホンザルはいつもお母さんにしがみついています。
逆にしがみついていないと不安なのです。
人工哺育になってしまった場合、最初にぬいぐるみにしがみつかせて精神的にも安定させます。
飼育員もこのぬいぐるみごと持って哺乳したり。
群れに戻す際もお気に入りのぬいぐるみごと同居が始まったのですが、リラックマというほっこりするキャラクターとオトメの境遇が重なりかなりの反響がありました。
このリラックマは職員がUFOキャッチャーで取ってきたモノ。
オトメが群れに戻るまで何代か変わりました。
オトメは今でも群れの一員として元気に暮らしています。
この本の出版には主に人側で涙の逸話が。
出版社から話があり、オトメのことを広く知ってもらいたいと思いましたのでこの話を進めることにしました。
ところが当時、市川市役所として本を出版するという法的な根拠がありませんでした。
意味がわかりませんよね?
市役所の仕事は全て「法」に基づいて成り立っています。
全ては法的な裏付けがないとできないのです。
当時、本を出版してよいという法的根拠がなく、許可がおりなかったのです。
そこで考えたのが、当時、動植物園のお客さんでオトメをずっと追いかけていた方。
その方と相談してその方の名前で出版していただきました。
写真はその方と市川市動植物園で撮ったもので構成されています。
もちろん私が撮った写真もたくさん載っています。
市川市動植物園は「協力」という形で巻末に名前が出ています。
写真は使用料として出版社が市川市に支払っていただきました。
この使用料も当時、法的根拠がなく、その金額に関しては法規の部署と何度も打ち合わせて決めました。
私が在籍中に行った数々の仕事の中で最も苦しく今も思い出したくないのがこの出版の仕事です(笑)。
でもこうやって世の中に出たことは、結果、良かったと思っています。
残念ながら既に絶版ですが。
ニホンザルの子どもが群れに戻るのがどれだけ大変なのか?
これはあらためて、noteでお話しています。
よろしかったらそちらもご覧ください。





